「病」は能力、ということ。

NHKの100分de名著という番組が好きで、興味のあるテーマの時は観ています。

毎月一冊の本や、一人の著者を取り上げ、25分の番組を4週に渡り100分間で読み解いていきます。今月は、精神科医の中井久夫さんの数冊の本を取り上げていました。


「「病」は能力である」というテーマでは、統合失調症になりやすい「S親和者」の能力について、考察されていました。「S親和者」は、狩りや航海など感覚を研ぎ澄ます必要のある時にものすごい力を発揮したのではないかとのこと。現代のような社会では、その力を発揮する機会は少なく、病としてあらわれるのではないかとのことでした。病とされているもののもう一つの側面は、確かにあるのだろうと思います。コインの裏表、陰と陽。ネガティブにみられるものの裏面をイメージすることは、人を多面的に見ることになるし、ひいては優しい社会につながるのではないかと思いました。施術の際に、コミュニケーションの難しいケースもあるのですが、この視点を持っていたいです。


「治療文化論」という本の中の一文にグッときました。

「治療とはそれぞれのために心を込めて、その人だけの一品料理をつくろうとすることである。」

なんて素敵な言葉でしょうか。病とは、症状とは、その人の表現なのかなと思います。表現は一人一人違う、そのことを胸に持ちながら施術ができたらなと思います。

それにしても、中井久夫さんの鋭くて優しい視点に癒されました。

うめのや

はり 灸 マッサージ