同じ痛み
わたしは、ドキュメンタリーのテレビ番組が好きでよく観ます。
先日、随分前に録画していたNHKスペシャルの「認知症の先輩が教えてくれたこと」というドキュメンタリーを観ました。
認知症と診断された方が、同じく少し先に認知症と診断された「認知症の先輩」と対話を重ねていく様子が映されていました。認知症と診断されたことへの驚き、忘れていくことへの不安、うまくいかないことへの焦り、知人に不用意な言葉を投げかけられたことへの悲しみ。認知症の方の持つ、さまざまな気持ちを知ることができました。その気持ちを「認知症の先輩」に話すと、その方の乗り越えてきた体験と実感を含んだ言葉が返ってきて、とても勇気づけられていました。認知症の方のご家族の思いも描き出されていて、ご家族の葛藤も、対話の中で明るい方へ導かれていました。
こういった当事者同士の語り合いは、同じ痛みを持つものとして分かり合える土台が用意されているので、ストレートに言葉が届き気持ちを穏やかにしてくれるのだろうなと思いました。
人が肉体を持ってこの世にいることは、体験・学びのためだと言われることがあります。体験することによって、自分の中の深い部分が磨かれる感じがします。
すぐれた施術家は、その施術家自身が何か持病を持っていることが多いのだとか。痛みを持つからこそ、痛みを持つ方への接し方がやさしくなるのかもしれません。わたしも、時々背部痛や頭痛がおきることがありますが、その後、その感覚が新鮮な時は特に思い出しながら施術をすることがあります。そして、その時は施術効果が高いように思います。
生きて行く上で受け取る痛み、苦しみ、悲しさは、辛いものではありますが、自分の中で昇華させて、周りを明るく照らすものになると良いなぁと思いました。
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